ズレなく表現できる言葉たちは、意外とシンプルだったりする。
自分の頭の中にあることを表現するのって、すごく難しい。
考えていることを言語化する過程で、私たちは自分の感覚にできるだけ近い言葉を紡ぐ努力をするのだけれど、
端的に言おうとすればするほど、表現は難解で複雑になる。
考えてることって、固形物じゃないから、取り出すときに崩れちゃうのかな。
そもそも、その言葉の捉え方が人それぞれだったりするから、そこでまたズレが生じるんだよなあ。
自分の頭の中、自分の発した言葉、相手の受け取り方、
それぞれの間に、少なからずズレがあって、完全に一致することはない。
そんなうまく伝わらないもどかしさを抱えながら、それでも今日も、ぴったりの言葉を探している。
ただ、例外もある、と最近気づいた。
目の前のあなたにまっすぐ届く言葉。
それは、多様性を秘めた、ポジティブな言葉。
例えば、
「嬉しい」
「ありがとう」
「あなたは私にとってすごく大切だよ」
「あなたが好き」
平易な言葉だと恥ずかしくなって、使うのをためらってしまうけれど、
たまには言ってもいいのでは。
大切な人に、肯定的な、大切な感情を伝えたいとき、
本質を霞めてしまう言葉は使いたくない。
シンプルな言葉といっても、ネガティブな言葉は当てはまらない。
例えば、「あなたのこと、嫌い」というときの感情は単純ではない。
さびしい、苦しい、疲れている、本当は好き、慰めてほしい、振り向いてほしい。
いろんな感情を含んでいると思うから。
そういうときは、感情をほぐして、できるだけ中心にある感情を、
できるだけ多くの言葉で表現しなきゃいけない。
人は完全には理解しえないから、伝えることを諦めて単純な言葉を使おう、っていうことじゃなくて、
ときに言葉をもつれさせながらも、たまにはシンプルな表現で、まっすぐな感情を伝えるよう努める、
そんな大人になりたいと思う今日この頃です。